金剛お姉さんの甘やかしシャンプー&マッサージ

 

「提督

 

声を掛けられてハッと顔を上げる。一瞬、自分が何をしていたのかわからなくなり、思わず辺りを見回した。

ここは提督室だ。わたしは自分の机の前で椅子に腰掛けている。膝の上に広がっているのは、艦娘たちのファイル。どうやら、これに目を通しているうちにぼうっとしていたらしい。窓の外はすっかり暗くなっている。

静かだ。いつもなら夜でも駆逐艦の子たちが騒いで賑やかなものだが、今はもう彼女たちが眠っている時間らしい。

 

「提督…… 大丈夫ですか」

 

再び声を掛けられて、そちらの方に目を向ける。

半開きの扉から顔を出しているのは、髪の長い女性。腰にまで届く黒髪が実に美しい。セーラー服の上に清水のような髪を垂らしながら、彼女はこちらを覗き込んでいる。かけている眼鏡がきらりと光った。大人っぽい顔立ちにそれはとてもよく似合う。わたしも同じように眼鏡をかけて髪も長いが、彼女のような大和撫子には遠く及ばない。

 

そういう容姿ながら、意外とチャーミングな一面もある彼女の名は大淀。軽巡洋艦・大淀である。

 

「もうすっかり夜も遅いですよ。お休みになったらいかがですか

 

大淀さんはふわりと微笑みながら言う。見惚れそうな笑顔から目を逸らすように、わたしは眼鏡を外して目頭を押さえた。

 

「はい、そうします……。すみません、今は何時でしょうか」

 

彼女に尋ねて答えを得ると、想像以上に夜が更けていたことがわかった。眼鏡をかけ直して、はぁとため息を吐く。

 

「お風呂もまだなんじゃないですか よく温まって、ゆっくりお休みした方がいいですよ」

 

苦笑交じりに、そう言われる。

 

「そう、ですね。この時間ならだれも入っていないでしょうし、丁度いいかもしれませんね」

 

わたしがぽつりと零すと、少しだけ大淀さんは目を見開く。こてん、と首を傾げながら、形の良い唇を動かした。

 

「そういえば、わたし提督とお風呂をご一緒したことがありませんね。いつもタイミングが合わないような」

「そりゃそうですよ。わたしは皆さんがいない時間を見計らっていますから」

「はぁ。同性といえど、肌を晒すのに抵抗が

「そうじゃなくて。お風呂でリラックスしているときに、上官が入ってくるのは嫌でしょう

 

少なくともわたしは嫌だ。せっかくお風呂で一日の疲れを洗い流そうとしているのに、上官が入ってきたらそれどころじゃなくなる。気を遣うのは嫌だが、遣わせるのも嫌だ。

わたしの言葉に大淀さんはきょとんとした表情を作っていたけれど、なぜか突然吹き出した。端正な顔立ちで笑みをたたえる。

 

 なにか変なこと言いました

「ええ、とても。今度から気にせず、皆さんと同じ時間に入るのをおすすめしますよ」

 

彼女はにこにことしながらそう言う。なんだか面白くなくて、去り際に尻を触った。普通に怒られた。

 

鎮守府の大浴場は大きい。単に大所帯だということもあるが、傷を負った艦娘を癒すドッグと、通常のお風呂場が併設されているからである。

 

艦娘は士気の管理が重要であるため、こういう設備は大事だ。やはりお風呂は大きくなくては。

だれもいない脱衣場にひとりで入っていく。中は静かだが、風呂場の熱気が伝わっているのか寒くはなかった。手早く軍服を脱ぐ。まとめていた髪を下ろし、いつも通り浴場へ足を運んだ。

 

もうもうと湯気が立つ中、眼鏡が曇るのを気にしながらぺたぺたと歩く。すると、仄かに声が聞こえた。これは……、鼻唄だろうか。それも随分とご機嫌な鼻唄だ。しかも日本語ではない。ネイティブすぎて何を言っているかわからないくらいだ。

そんな鼻歌を口ずさむ人は、この鎮守府でも少ない。

 

「Wow 提督 Bathroomで会うとは奇遇デスネー

「……どうも、金剛さん」

 

元気の良い声が聞こえてきて、ようやく彼女がどこにいるかがわかった。彼女は一際大きなお風呂に腰を下ろしていて、両腕を縁に投げ出している。長い髪は括られていた。いつも付けている派手なカチューシャがないせいで、見た目はただの綺麗なお姉さんだ。白い肌を惜しげもなく晒している。身体の大半はお湯に埋まっているものの、それでも彼女の豊かな胸が目に入った。腰もきゅっとくびれて羨ましい。ナイスバディとは彼女のためにある言葉だろうか。

 

わたしがじろじろと眺めていたせいか、金剛さんはおどけて「提督ぅ、視線がHot過ぎるネー」と胸を隠す。底抜けに明るい彼女の性格はわたしも好きだが、突然遭遇すると反応に困ってしまう。

 

 

管理人
やっぱり金剛さんは最高デス

 

引用元:https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5303852

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